2012年08月16日

労災と会社の責任

おはようございます

 

今日から休み明けの人も沢山いらっしゃいるのでは?

 

そんな人もそうで無い人も頑張りましょう!!

 

 

 

本日は「労災と会社の責任」を解説します。

 

会社の業務が原因で社員がケガをしたり、病気になった場合、その損害を

 

会社が負担することになっています。

 

この場合、原因が業務かどうかを検証することが重要ですが、そこを証明するのは容易ではありません。

 

もちろん、ケガならば、その原因は比較的明らかですが、病気の場合は業務との関連を結びつけることはとても難しいことです。

 

そこで、業務が原因か、そうではないかという基準について、労災保険制度の基準があります。

 

特に、過労死については厚生労働省が下記の認定基準を出しています。

 

〇 発症前の1週間において、特に過重な業務を行った

 

〇 発症前のおおむね6ヶ月間にわたり、疲労が蓄積する業務を行った

 

→ 発症前1ヶ月の残業時間が100時間超

 

→ 発症前2ヶ月〜6ヶ月の1ヶ月あたりの平均残業時間が80時間超

 

このいずれかに該当し、脳疾患、心臓疾患を発症した場合、業務上の病気として取り扱うことになるのです。 

 

さらに、「うつ病による自殺」についてみてみましょう。

 

まず、前提として、自殺の場合は労災の対象にはなりません。

 

なぜならば、自殺は「本人の故意による死亡」だからです。

 

しかし、業務の激しいストレスからうつ病になり、自殺をした場合、業務上の死亡事故として労災が認められる場合もあるのです。

 

ただし、その判断はとても難しいです。

 

そこで、過労死の基準と同じように厚生労働省が下記指針を出しています。

 

〇 過重なストレスが原因である精神疾患等を発病している

 

〇 発症前おおむね6ヶ月の間に大きなストレスがかかる業務を行ってい

 

→ 1ヶ月の残業が80時間を超えているかがポイント

 

〇 業務以外の心理的な負荷が無いこと

 

→ 例えば、身内の不幸など

 

このいずれかに該当した場合、「うつ病による自殺」も労災として認められるのです。

 

なお、これに関連する裁判があります。

 

<自動車部品販売会社事件 福岡高裁 平成19年10月>

 

〇 社員がうつ病で自殺

 

〇 自殺直前2ヶ月の残業は100時間超

 

〇 自殺1ヶ月前にリーダーに昇格

 

 

そして、裁判所は

 

〇 残業時間、昇格により、労働環境の変化からの健康悪化の恐れあり

 

〇 会社は社員がうつ病となる状況を予想できた

 

○ 業務が原因でうつ病となり、自殺したので労災である

 

と結論を出したのです。

 

 

もちろん、このような状況を防ぐことが会社の責任です。

 

しかし、どうしても業務が優先されてしまい、その結果、労災と疑われる事が発生してしまうこともあります。

 

この場合、その社員はそこまでは残業していないという状況ならば、次の書類等で証明することがポイントです。

 

まず、残業時間の問題につき、証拠となるのは

 

〇 タイムカード

 

〇 出勤簿

 

〇 業務日報

 

などです。

 

 

次に、過重な業務を担当していたかどうかという点ですが、この内容は判断に迷うところです。

 

この場合の証拠は

 

〇 就業規則

 

〇 雇用契約(担当業務の内容は何か)

 

〇 業務日報

 

〇 上司、同僚等の陳述書

 

→ それほど過重ではなかったと意見を述べてもらう

 

などです。

 

 

最後に、うつ病等の精神疾患の判断については

 

〇 健康診断の結果

 

〇 発症以前の本人の健康に関する記録(カルテなど)

 

→ これは依頼して、主治医等からもらうことになる

 

〇 休暇届の状況

 

〇 本人からの身体等に関する会社への申告の有無

 

〇 上司、同僚等の陳述書

 

→ 精神疾患になるとは考えにくいと意見を述べてもらう

 

などとなっています。

 

 

これらのことを明確にし、社員の病気が業務に関連していないことを証明するのです。

 

もちろん、社員が病気やケガになったら、会社としても大きな損失です。

 

当然ですが、その原因が業務にある場合、すぐに改善しなければなりません。

 

そのためにもまずは「働く時間の管理」は必須です。

 

単に残業代の計算のためではなく、社員の健康管理の意味こそが大きいとも言えます。

 

 

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utsumisr at 07:10│Comments(0)TrackBack(0) 労働保険 

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